蓮華遊子 – 捜索04

 翌朝、ヴァヴァロは三人に予定の変更を提案した。 
 予定ではクイックスピル・デルタ周辺を軽く巡回した後、同じペアで昨夜とは逆のルートを確認しつつイディルシャイアに戻る予定だったが、テンメイが感じた”気配”がどうしても気にかかる。いままでに何度か巡回した学士街を念入りに調べるよりも、人手があるいま、少しでも可能性のありそうな未捜索の地域を捜索したほうが確実だろう。
「……というわけで、昨日の予定とはちょっと変更して、今日はあたしとテンメイさん、アルテュールとバドマさんの二手に分かれようと思います」
 小岩の上に立ち、しばらくクイックスピル・デルタを見渡していたヴァヴァロは三人を振り返った。日が差し始めた辺り一帯に亡霊騎士らしき魔物の姿は依然として見当たらないが、今は魔法の心得がある味方もいる。手応えのなさに肩を落とすは必要はまだない。昨夜のテンメイの言葉が気にかかり、ペア変更を提案する程度にはそわそわしているが。
「あたしとテンメイさんは哲人街も含めてこの辺りを念入りに、アルテュールとバドマさんは図書館方面の確認をお願いします。昼下がりを目安にまた昨日の橋のところで待ち合わせをして、そこからは昨日の予定どおり、もう一度だけ学士街を確認して街に戻りましょう。もうしばらくしたら仲間とも合流できるはずだから、テンメイさんにはそこで仲間と交代で街に残ってもらって、その後はチームを再編して捜索に挑みましょう」
 今日の巡回で亡霊騎士が居場所を押さえられれば、仲間と合流して討伐に。発見できなければ、また根気よく捜索に繰り出すだけのことだ。人手が増えるほど捜索は助かるから、少しなりとも前進はしているはずだ。さっぱり手応えのなかった日々を思うと、状況の進展を感じ、ヴァヴァロは自然とやる気が満ちてくるのを実感する。
 三人の顔を見渡し、各々から肯定を返されると、ヴァヴァロはよし、と一歩踏み出し──そのまま湿った小岩から勢いよく滑り落ちた。
「お、おい、ヴァヴァロ!」
 あまりにも見事な滑りぶりを披露され、アルテュールは慌ててヴァヴァロに駆け寄った。
「いったぁ……」
 硬い岩の表面を思い切り尻で滑ってしまい、おまけに軽くごつんと後頭部を岩にぶつけ、想定外の痛みにヴァヴァロは軽くうずくまった。咄嗟に受け身を取ったから良かったものの、体を支えようと岩の表面を叩いた掌が手袋の上から擦りむけたらしく、ヒリヒリとした痛みが襲ってきた。
「なにやってんだよ」
「えへへ、足が滑っちゃった……」
 アルテュールに助け起こされながら、ヴァヴァロは照れ隠しに笑うしかない。
「怪我はないか?」
「だ、大丈夫です、大丈夫! ちょっと擦りむいただけ」
 テンメイまでもが心配そうに手を貸してくるので、ヴァヴァロはなおさら恥ずかしく感じてしまう。──ああ、もう。どうして自分はこうドジなのだろうかと。
「ったく、あいかわらずドジだな」
「ちょっと転んだだけだってば!」
 ──とはいえ、アルテュールにそれを指摘されると妙に悔しくて、ついついムキになってしまうのだが。
 べっ、と舌をつきだして反抗するヴァヴァロであった。




「うーん、いないなぁ」
 テンメイと二人、クイックスピル・デルタをぐるりと巡り、さらに奥へと広がる洞窟をくまなく見回る。辺り一帯にポロッゴ以外の姿が見えないことを確認すると道を引き返し、より視界が開けた場所を求め、シャーレアン哲人街へと上がっていった。
 学士街よりも高台に築かれた哲人街一帯からは、低地ドラヴァニアの大地を眼前に見下ろすことができるが、それでも亡霊騎士らしき魔物の姿は見当たらなかった。イディルシャイア周辺では何も感じなかったテンメイが、今日の捜索でも何度か”何か”の気配を感じているそうだから、この辺りに潜んでいると思いたいものだが。
 狙う獲物が”亡霊”と呼ばれるほどの存在なのだから、目視できなくてもおかしな話ではないのだろうと、魔法に疎いヴァヴァロなどは安直に考えてしまう。ましてや他の魔物に擬態するなり姿を透過されていては、今のヴァヴァロたちには手も足も出ない。それでも出現場所の目星さえ付いていれば、仲間と合流さえすれば打開策はあるから、やはり以前のように落ち込むことはなかった。
「少し休憩していきますか?」
 太陽は徐々に真上へと近づいていた。そろそろ来た道を引き返さないと、約束の頃合いには間に合わないだろう。
 その前に少し休憩を、とヴァヴァロはテンメイを振り返った。テンメイが頷いて荷物を降ろしたので、ヴァヴァロも背負っていた荷を降ろし、うんと伸びをした。
「手を」
 テンメイに不意に手を差し出され、大きく伸びをしていたヴァヴァロはきょとんとした。
「怪我をしたろう」
 手招きするようにされ、ヴァヴァロはようやく、テンメイの意図を察する。慌てて手を左右に振った。
「ほんとに大丈夫なんですよ。ちょっと擦りむいただけで、ちゃんと洗ったし」
 怪我した──といっても本当に少し擦りむいただけなのだが──ことは誰にも言っていなかったのに。
「手を。……化膿するといけない」
 少し迷ってから、ヴァヴァロは躊躇いながらテンメイのそばに座った。手袋を外し、患部を見せると、テンメイはヴァヴァロの小さな手を取った。大柄で寡黙な青年の手は、意外なほど温かかい。
 傷の具合は検分したテンメイは、荷物の中から竹筒を取り出すと、中を満たす独特の匂いの発する液体で簡単に傷を洗うようにする。
「テンメイさんは、お医者さんなんですよね?」
 大人しく手当を受けながら、ヴァヴァロはそっと尋ねてみる。
「まだ未熟だが」
「バドマさんは、テンメイさんは腕が良いって言ってました」
「師には遠く及ばない」
 少ない口数ながら、テンメイがわずかに目尻を和ませたので、ヴァヴァロは妙にほっとしてしまう。寡黙な上に、こうして間近にするとなかなか強面だが、初めて出会った時のような冷ややかさはもう感じなかった。昨夜のバドマに対する態度を思い出すと、単に寡黙なだけなのかもしれないと思えた。
 傷口を木綿で押さえ、その上から包帯を巻くと、治療はそれで完了のようだった。ヴァヴァロは綺麗に手当をされた手を矯めつ眇めつする。
「ありがとうございます」
「礼には及ばない」
 荷を片付けながら、テンメイがふと言い淀んだ。
「バドマが……」
 手袋をはめ直し、同じように荷物をまとめ直していたヴァヴァロは首を傾げて言葉の続きを待つ。 
「二人の手を焼かせているのではないかと……」
 なにやら申し訳なさそうに言われ、ヴァヴァロは目をぱちくりさせた。
「バドマさん、本当に強くてすごいなあって思います。その、最初はちょっと、びっくりしましたけど。すごーくはっきり物を言うから」
 出会った当初はその気位の高い口調と押しの強さにまごついてしまったが、よくよく話してみれば、彼女のさっぱりした気性はヴァヴァロにとって心地よく感じられた。弓の腕も頼もしく、まだまだ弓の使い手として未熟な自覚があるヴァヴァロにとっては、羨望の眼差しを向けてしまう人物だ。それでもやはり、時に相手を一刀両断せんばかりの口調には驚かされてしまうが。
 最後のほうは尻すぼみになったヴァヴァロにテンメイは苦笑した。
「テンメイさんは──」
 ──どうしてバドマさんと結婚したんですか?
 と、思ったままの言葉が口をついて出そうになり、
「バドマさんのどんなところが好きなんですか?」
 慌てて呑み込んだ代わりに出た言葉は、かえって恥ずかしいものだった。
 ──あんなに激しい口調で責めてくる相手と夫婦生活を送るのは、やっぱりちょっと大変なのではないか、とついつい思ってしまったが、それをそのまま尋ねては失礼な気がして、代わりに飛び出た言葉がこれ。しかしこれではまるで恋の話をするようではないかと、ヴァヴァロは一人で赤くなったり青くなったりする。
 ヴァヴァロの問いにテンメイはその細い目を軽く見開き、すぐにいつもの平静な表情に戻った。
「……一人にしておくのが心配だった」
 短く答えられ、ヴァヴァロは目を瞬く。
「それだけですか?」
「……彼女は強い。戦士としての腕は間違いないだろうが……少し、向こうみずなところがある」
「バトマさんの面倒を見るために一緒になったんですか?」
 返答があったことに驚き、次いで理由に驚き、テンメイが肯定するように頷いたのでさらに驚いた。
「そうなんだぁ……」
 風習の異なる二人が夫婦になったのだ。日々喧嘩をしながらも愛を育んできたのかしら、と密かに想像を膨らませていたヴァヴァロは、少しばかり拍子抜けしてしまった。テンメイの口ぶりでは、まるで子を心配する母のようだ。名目上は夫婦ではあるが、実はもっとあっさりした、旅の連れとして契約を結んだだけの間柄なのかもしれない。
 そう思うと少しばかりがっかりするような、胸中は複雑な思いになる。こういう時、大人ってよく分からないな、とヴァヴァロは思ってしまうのだった。




「だーめだぁ。見つかんない」
 橋の袂でアルテュールたちと合流すると、お互い捜索の成果を報告しあった。
 図書館方面をくまなく捜索したものの、やはり亡霊騎士の姿は見当たらなかったらしい。テンメイ以外、魔法の心得のある者がいないから、気配を察知できないままの恐れもあったが、少なくとも周辺の様子に特に異常はなかったと言う。
「今回はこのあたりで切り上げて、一度戻ろっか。さっきファロロさんたちに連絡したら、明日には合流できそうだってことだったから」
「潜んでるとしたらやっぱこっちっぽいしなぁ。戻るかぁ」
 予定を大幅に変更しての捜索のおかげで、太陽は既に西へと向けて傾いていた。ヴァヴァロはバドマと、アルテュールはテンメイと、再び二手に分かれ、昨日とは逆のルートを互いに巡回しながら約束の地点へと向かった。
 約束の地点で再び合流し、やはり亡霊騎士の影も形も無いことを報告しあう頃には、夕刻の空はいつのまにか灰色に覆われていた。
 低地ドラヴァニアは雨の多い地方だ。急いで戻ろう、と降雨に備えて雨衣を羽織って先を急ぐ一行の行く手を遮るように、ぽつり、ぽつりと雨粒が舞い落ちてくる。
「うわ、降ってきた」
「街までまだあるのに、勘弁してくれよな。飛んどくか?」
 この地の雨は、一度降り始めると横殴りの雨になることが多い。ぽつぽつと降ったのは最初の数滴。すぐにサァッと音を立てて降り始める。
「えー、あんまりお金ないからやだなぁ。もう日も暮れそうだし、雨宿りしていこうよ」
 転送魔法を使えば文字通り一息で街まで飛べてしまうが、決して安くない利用料が必要になる。エーテライトの維持のために必要な費用らしいが、街を目前にして払うには、額が少しばかり大きい。
 代わりにヴァヴァロは廃屋の一つを指差した。そうすっかぁ、と呟くアルテュールと、顔を見合わせたアウラ夫婦を手招きして、ヴァヴァロは──転ばないように気をつけながら──手近な廃屋の一つに駆け寄った。




「ごめんくださーい……」
 外からよく聞き耳を立て、建て付けが悪くなった扉をなんとかこじ開けながら、ヴァヴァロはそっと中を覗き込んだ。
「よかった、誰もいない」
 急な雨に降られた時は、こうして風雨を凌げる程度に原型を保つ廃屋を雨宿りに使わせてもらっていた。
 もう十何年も前に捨てられた街だ。今さら家主がいるはずもないが──いるとしたら盗賊の類だ──、それでもかつて誰かが暮らした家に足を踏み込むのは、少しばかり気が引ける。結局、利用させてもらうことに違いはないのだが、一言声をかけてから入らずにはいられないヴァヴァロである。
 屋内の安全を確認すると、ヴァヴァロは三人を中に招いた。屋内は家具の大部分が撤去され、いかにも寂しい雰囲気ではあったが、風雨を一晩凌ぐには問題ない。
「立派なものじゃ……」
 人の手が入らないせいで、屋内の壁も所々苔むしていた。それでも立派な趣をした石造りの壁をバドマは悼むように撫でた。
「バドマさん、あたしたちはこっちの部屋で休みませんか」
 奥に部屋を見つけ、ヴァヴァロはバドマを手招きした。やはり大半の家具が撤去された殺風景な部屋だったが、窓に入ったガラスは割れておらず、特に物が散乱しているわけでもない。旅慣れた女性二人が休むには充分は場所だった。
「ぷは、冷たかった」
 雨衣を羽織ってもいても冷気は足元から忍び寄ってくる。靴を脱ぎ捨て、雨衣では防ぎきれなかった雨ですっかり冷えた上着も脱いでしまうと、適当な場所にぽいっと投げて引っ掛ける。
「ずいぶんと強い雨じゃな。夜明けまでに止むとよいが」
 冷えた衣類を脱ぎ、ようやく落ち着いたヴァヴァロはバドマの言葉に振り返り、そして咄嗟に体を強張らせた。すっかり衣類を脱いでいた──極めて裸に近い──バドマは、荷物から別の衣類を取り出しながら、窓の外をしんみりと眺めていた。
 同じ女性なのに、ヴァヴァロはバドマの裸体にすっかりどぎまぎしてしまっていた。褐色の肌に、わずかな明かりを受けて陰影をつける黒い鱗。無駄のない引き締まった体に金とも銀ともつかぬ不思議な色の髪が垂れ、妙に艶美だった。
「なんじゃ?  そんなに見つめられるとこそばゆいぞ」
 ようやく視線に気がついたバドマは、黄昏時の色をした紅紫の瞳をヴァヴァロに向けた。
「あ、ご、ごめんなさい。綺麗だなと思って……」
 もじもじしているヴァヴァロの言葉に一瞬、目を丸くし、バドマはすぐに破顔する。
「ふふ、素直な娘じゃな。面と向かって言われると、さすがの妾も照れくさいわ」
 あまり照れているようには聞こえないのだけど、と思いつつ、ヴァヴァロはチラチラとバドマに視線を送ってしまう。
 ヒューラン族にしろエレゼン族にしろ、ルガディン族にしろミコッテ族にしろ、体格や体の部位に多少の差異はあっても、基本的にそこまで目立った差があるわけではない。むしろエオルゼアで馴染み深い種族のなかで、ララフェル族だけがとびきり体が小さく、他の種族との差が目立つ。アウラ族がまだまだエオルゼアでは馴染みの薄い種族であることもついつい目が惹かれてしまう一因だろうが、それでもバドマは人目を惹く魅力を秘めた女性に思えた。
 耳の代わりを務める器官だという角に、鱗に覆われた尻尾。背や腕、足をまるで装飾品のように覆う鱗は、ヴァヴァロにとってとても神秘的なものに見えた。
 バドマが衣服を着替え終えその肌が隠れると、ヴァヴァロはすっかりほっとしてしまうのだった。




 ひと息つき、雨が上がらないまま夜を迎えた一行は、そのままこの廃屋で夜を越すことになった。
 今日中に街に戻る予定だったため夕食の獲物は狩っていなかったが、簡素な携行食にもテンメイが一工夫加えてくれ、ヴァヴァロとアルテュールにとってはこの上なく満たされる食事になった。
 念のため交代で家の番をするという男性たちの申し出をありがたく受け入れ、ヴァヴァロとバドマは早々に部屋に下げると、野営用の寝具を床に広げて横になった。
「こちらの雨はずいぶんと長く続くのじゃな」
 並んで横になったバドマは、今も窓のガラスを叩き続ける雨音に聞き入っている様子だった。
「珍しいですか?」
 既にうとうとと微睡み始めていたヴァヴァロは目をこすりながら尋ねる。
「妾の育った大地は乾いた土地柄だったのじゃ。降らぬわけではないが、こうも長く何度も降るようなことはなかったかの」
「ザナラーンに似てるのかな……」
 ヴァヴァロは首を傾げた。
「砂の都を囲む土地じゃな。確かに近いものはあるが、ザナラーンよりは緑が多いかの」
「へぇ。でも、雨は少ないんですよね?」
「そうじゃ。雨が降るのは夏のごく短い間だけ。その雨を待ちわびたように草原はいっせいに緑になる。見渡す限り緑の海原は実に清々しいぞ。こうして旅に出てそれなりの月日が経つが、いまだ大草原を馬で駆ける爽快さは忘れられぬ」
「わぁ……」
 バドマが目を細め、懐かしそうに語る。
 馬という生き物をヴァヴァロは数度しか見かけたことはないが──軍馬として各国グランドカンパニーに導入された個体を遠目に見たことがあるだけだった──、クルザス地方に生息するという幻の獣ユニコーンによく似ているという。そんな優美な獣に騎乗し、一面が緑の草原を駆けるのは、想像しただけで胸が躍った。
「んと、遊牧民の暮らしって詳しくないんですけど、家畜を放牧しながら暮らしてるんですよね? ちょっとしか雨が降らないのに、餌は足りるんですか?」
 すっかり眠気の飛んだヴァヴァロは、ころりと転がってバドマのすぐ側に寄る。
「一箇所に留まり続ければいずれ羊たちが草を食べ尽くしてしまうが、そうなる前に次の放牧地へと移動するのじゃ。そうしてアジムステップを──大草原を巡りながら暮らす」
「ああ、それで旅をしながら暮らしてるってことなんですね。たくさん家畜を連れながら旅をするのは大変そうだけど……」
「旅と言っても、なにも毎日のように移動するわけではないな。羊が草を食べ尽くさぬよう、少しずつ草原を移動しながら暮らす」
「そっか。ずっと一箇所にいたら、すぐに食べるものがなくなっちゃいますもんね」
 なるほど、と納得した様子のヴァヴァロにバドマは微笑んだ。
「そういうことじゃな。そうして季節ごとに大地を巡りながら、冬は寒さを凌げる山裾に留まり春を待つ。春は新たな生命の誕生を喜び、夏には雨を乞う。秋にかけては冬への備えをし、そして再び冬がくれば、ひたすら春の訪れを待ちわびる……」
「大変そうですね……」
「街の暮らしとはかなり勝手が違うであろうな。実際、暮らしは豊かとは言えぬ。大地の恵みは天候に左右されるから、時に家畜に食わせるため、土地を巡って他の部族と衝突することもある」
「そ、そうなんですか」
 バドマがにやりと笑うので、ヴァヴァロは驚いて目を丸くする。
 大平原がどれほど広大な土地なのかヴァヴァロにはさっぱり想像もつかないが、少しでも雨量が足りなければ一族が食い詰めてしまうほど過酷な環境なのか、と想像を巡らせた。
「それゆえに、これほど雨が多く水が豊かな土地には驚くな。これほど大地が肥沃ならば、敢えて大地を巡りながら暮らす必要もあるまいと納得させられる。街に定住するか否か、どちらが性に合うかは人によろうがな。妾は生まれついての遊牧の民ゆえ、こうして旅暮らしの身じゃが」
 バドマは再び窓の外へと視線をやった。いまだ上がらない雨は屋根を、窓を、激しく叩いている。
「バドマさんは、どうして旅に出たんですか?」
 ヴァヴァロも釣られるように窓の外を眺めやり、しばししんみりと雨音を聞いていたが、ふと気になってバドマに尋ねてみる。
 ヴァヴァロの問いに、ふむ、とバドマは考え込むようにした。
「それを聞かれると答えるのが難しいが……。ひとつは、強敵と渡り合いより弓の腕を磨くため。もうひとつは、故郷アジムステップは広大であったが、その先にまだ見ぬ大地が広がっていると知ったから、かの」
「向上心と探究心から、ですか?」
「そうと言えるかもしれぬ。事実、こうして旅をしていると、いかに自分が矮小な存在か思い知らされるな。時折、途方に暮れたくなるわ。──それでも、この道の先に待つものを見たいと思わずにはおれぬ」
 言って、バドマは口を噤んだ。急に表情を曇らせて黙り込んでしまったので、ヴァヴァロは怪訝に思い首を傾げた。
「それだけですか?」
 聞いてから、出過ぎたか、とヴァヴァロは慌てて口を閉じた。
 しばらく黙り込んだ後、バドマは静かに口を開いた。
「そうじゃな……。自分を許せなかったから、かの」
「許せないって」
「そう面白い話ではないが。はて……」
 バドマは苦笑を浮かべた。
「妾は己が弓の腕に確固たる自信を持っている。族長には遠く及ばぬが、部族の若い衆のなかでは一、二を争う腕前であったのは確かじゃ」
「おお……」
「しかしそれを妬むものがいた。同じ頃に生まれた娘たちは、妾の腕が他者よりも優れていることが不満だったようでな」
「それは……」
 ゆっくりと語り始めたバドマに、ヴァヴァロは咄嗟に返す言葉が浮かばなかった。
「ある春のことじゃ。我々の夏営地を荒らす獣がいると分かり、これを若い衆で討って出ることになった」
 ヴァヴァロは黙って相槌を打つ。
「獣の正体は、力をつけ過ぎた狼じゃった。あれでは獣というよりも魔性の……魔物と呼べる存在であったろうな。狼のわりに群れもせず、一匹で草原を荒らす魔性の獣へと変貌しておった。夏に家畜に食わせることができなければ我々は即座に食い詰める。これを討たねば後の被害は明らかじゃ。そこで部族のなかでも若い妾たちは、己の腕試しも兼ねてこれの討伐に名乗りを上げ、族長もこれを許した。しかし──」
 言葉を切ったバドマの横顔には苦いものが浮かんでいた。
「仲間のなかに、悪いことを考える人がいた……?」
 おずおずと尋ねると、バドマは頷く。
「どうも妾が弓の腕に優れ、族長にも目をかけられ将来は有望、おまけに美しいことを妬む輩が多くいたらしい。彼奴らはこの討伐にかこつけ、妾の評価を貶めようとしたのじゃ」
「は、はぁ」
 深刻な表情をすれば良いのか、それとも笑えば良いのか。本気なのか冗談なのか全く分からないバドマの口調に、ヴァヴァロは拍子抜けしてしまう。
 困惑するヴァヴァロに笑ってみせ、バドマはすぐにその笑みを引いた。
 ──バドマたち若い狩人の一団は夜明けとともに出発し、すぐに野を荒らす獣の捜索に入った。いずれも狩りに秀でた者たちばかり。獲物を追う勘にも優れており、頭数も揃っているとあって、獲物を発見するのにそう時間はかからなかったという。
 しかし、とバドマは続ける。
「──件の獣を見つけ、追い立てるまでは良かった。……じゃが、彼奴らはそこで唐突に引き、妾を孤立させた」
「そんな……」
 バドマは深いため息をついた。
「各個の狩りの腕は申し分ない。あれを討つのも我々ならばそう難しくはなかったであろう。しかし彼奴らは妾を孤立させ、ぴぃぴぃと泣きっ面をひっさげて戻ってきたところを笑い者にする気だったようでな。どうやら日頃から妬みを買っていたようじゃから、妾の情けない姿を見て溜飲を下げるつもりだったようじゃな」
 確かに、バドマは敵を作りやすい種の人間かもしれない。口が裂けても本人には言えないが、ヴァヴァロは密かにそう思ってしまう。気位が高い口調、憚りなく己の腕を自慢する様は、人によっては驕り高ぶっていると感じてしまうだろう。ヴァヴァロなどは、その自信に溢れた言動や実際に優れた腕前に驚嘆し、憧れるばかりだが。
 バドマはゆるく首を振った。
「弓の腕で叶わぬのならば、鍛錬を積み妾を越えればよいだけのこと。族長に目をかけられるのが妬ましければ、実直に日々働けばよい。美しさは……父母から授かったものゆえどうしようもないが」
「はぁ……」
 やはり深刻なのかそうでないのか。困惑するヴァヴァロにバドマはニッと笑ってみせた。
「それで、その獣は……?」
 ヴァヴァロの問いに、バドマは目を伏せる。
「ふむ、そうじゃな……。どうも仲間に嵌められたらしいことはすぐに分かった。──しかし妾にも意地があった」
「引かなかったんですか?」
「そうじゃ。仲間の目論見に気づいた妾は、ならば彼奴らの鼻を明かしてやろうと、愚かにも単騎で獲物を深追いした」
 ヴァヴァロは黙って頷き、先を促した。バドマは懐かしむように視線を宙にやる。
 魔性を帯びた狼は、その力も疾さも並みの獣を遥かに上回っていたという。恐ろしく獰猛で、そしてかなり知恵のある個体だったのだろう、と。自分を追う人間を恐れもせず、翻弄するように大草原を疾走する狼に、弓矢は悉く躱された、とバドマは語る。
 遊ばれるように大草原を駆けるうち、本営からはあまりにも遠く離れてしまったことをバドマは頭の片隅で自覚していたが、いまさら引き返すことはできなかった。
 ようやく一撃を与えられたのは、馬の足に食らいつこうと急接近してきた狼に、馬上から刀剣の一撃を叩きつけられたからだという。わずかに失速した狼に、ようやく反撃の機を見出すことができた。
「愛馬を駆り、がむしゃらに獣を追い込み……獣に矢を数本打ち込む頃には、本営から遠く離れた場所まできておった。そしてあと一撃喰らわせれば地に伏せようかという時、奴は最後の反撃をみせた。妾が射るほうがわずかに早かったが、しかし──」
「……しかし?」
 ヴァヴァロは言葉の続きを待つ。
「……最後に、愛馬が身を呈して妾を庇ってくれたところまでは覚えておるのじゃが。その背にしがみつくだけの力が残っていなかった妾は、滑稽にもそのまま崖下に真っ逆さま、というわけじゃ」
 幼い頃より共に育った親友だったという。その背にまたがり、大草原を獲物と一進一退の攻防を繰り広げながら駆けたバドマは、いつしか足を踏み入れたことのない渓谷まで到達していた。
 最後の力を振り絞り、騎手めがけて跳躍した狼を撃ち落とす余裕はなかった。──これまでか、とその血濡れの牙が迫るのを呆然と待ち受けるしかなかったバドマはしかし、大きく立ち上がった友の背から振り落とされ、大地を掻いて踏みとどまることもできず、転がるようにして暗い渓谷の底へと滑落していった。遠のく意識のなかで、友の声高いいななきを聞きながら。
「よく、無事で」
「ほんにな。我ながらよくもしぶとく生き残ったものじゃ」
 沈痛な面持ちでヴァヴァロに言われ、バドマは微苦笑すると、しばし口を噤む。
「……妾があの時、意地を張らずに引き返していれば、親友を失わずに済んだかもしれぬ。仲間に侮られまいと蛮勇を振るい、仲間の妬みに怒り、冷静な判断を欠いた。そんな己の未熟さに嫌気が指して、奇しくも生還した妾は部族を去ったのじゃ」
「そんな……。バドマさんを置き去りにした人たちはなんのお咎めもなかったんですか?」
 バドマは己の未熟さを指摘するが、ヴァヴァロにはバドマだけに責があるとは到底思えない。裏切りやそねみはいつ聞いても気分が良いものではなかった。
「さて。まさか妾が単騎で突撃するとは思わず、たいそう狼狽えて族長たちに救援を要請したそうじゃが。族長あたりがこってり絞ったじゃろうて」
「バドマさんは怒らなかったんですか? 彼女たちに」
 真剣な眼差しで問われ、バドマははて、と呟いた。
「皆のもとに戻った頃にはどうでもよくなっていたな。嵌められたとわかった時には頭に血が昇ったが、敵を討ち、友を失った後では、もはや些細なことに過ぎなかった。……まったく失望しなかったわけではないがの」
 バドマは苦笑し、そしてゆるく首を横に振る。
「弓の腕に優れるだけでは、優れた狩人とは言えまい。大草原随一の狩人揃いと名高いダズカルとして、その名に泥を塗ることには耐えられぬ。さて、ではこの未熟さをどう克服しようかと思うた時に、ふとある男の言葉を思い出してな」
「ある男?」
 ヴァヴァロはきょとんとした。バドマはくつくつと笑う。
「テンメイじゃ。この身を崖下に投げ出され、気を失っていた妾を助けたのはテンメイなのじゃ」
 ヴァヴァロは驚いて目を丸くした。
「じゃあ、テンメイさんはバドマさんの命の恩人なんですね」
「そうじゃ。奇しくも街から離れ、貴重な薬草とやらを求め渓谷まで遠出しにきていたあやつが地に倒れ伏していた妾を見つけ、手当を施してくれてな。初めは死んでいるものと思って、せめて葬いだけでも、と思ったらしいが。まだ息があると分かり、妾が動ける程度になるまで、満足に治療もできない環境で手を尽くしてくれたのじゃ」
 渓谷を流れる川の縁で半ば水に顔を突っ込むようにして気を失っていた、とはバドマも後から聞いたはなしである。水が貴重な大草原において、最初に自分を発見したのが他の部族の者でなかったことも幸運だっただろう。
 見ず知らずの人間など見捨てれば良いものの、生まれ持っての仁の心なのか、はたまた度を越したお節介なのか。テンメイは名も素性も知らない女を助け、この命を永らえさせたのだ。
「わぁ……なんだか運命の出会いですね」
「ほんに。まさかあの時は、あれと夫婦になるとは夢にも思わなかったものじゃ」
「それで、テンメイさんは、バドマさんになんて言ったんですか? 旅に出るきっかけの言葉をくれたんですよね?」
 ずいっと身を寄せて聞いてきたヴァヴァロにバドマは笑ってみせた。
「なに。実を言うとたいそうな言葉でもなんでもないのじゃが。妾がいつか助けられた礼をしに訪ねていきたいと聞くと──礼はいらない。が、訪ねてくるなら宿ぐらいは提供する。……だから、いつでも訪ねてくるといい。とな」
「うーん?」
 もっと決定的な──それがなにかは分からないが──言葉を想像していたヴァヴァロは、ちょっと気勢を削がれて首を傾げた。なにやら拍子抜けしているヴァヴァロに、バドマはくつくつと笑う。
「妾はそれまで草原の外を見たことがなかった。交易で街の者と言葉を交わす機会はあっても、ただそれだけじゃ。それまで外の世界に興味を抱くこともなかった。しかし、ふと思ったのじゃ。より広い世界で見聞を広め、よりいっそうこの腕を磨けば、いずれこの未熟さも少しは払拭できるのではないかと。テンメイはそのきっかけをくれた。草原からまずは街へと、点と点だったものを線として結んでくれたのじゃ。無論、本人はそんなつもりで言ったのではなかろうがの」
 なるほど、とヴァヴァロは頷く。それなら少し分かる気がした。
「それで、部族を離れたんですね」
「そうじゃ。愛しき父母や兄弟姉妹に別れを告げ、妾は独り旅立った」
 故郷を、家族を懐かしんでいるのか、バドマは微笑みながら目を伏せた。
 その横でヴァヴァロもバドマの出立に思いを馳せた。仲間に弄ぶように裏切られ、友を失い、それでも生還した一人の人間が、命の恩人の言葉に導かれて故郷を後にする──
「それからは、テンメイさんのところに向かったんですか?」
 首を傾げながら尋ねると、バドマはそうじゃ、と頷いてみせた。
 馬もなく自らの足で部族を離れ、まずは街に辿り着くまでが大変な苦労だったと笑いながら。本当に礼をしに訪れたバドマに目を見張るテンメイの表情がいまだに忘れられない、とも。
「なんとか奴のもとに辿り着いたは良いものの、草原育ちゆえ、街の暮らしはさっぱり分からぬ。文字も読めなければ、金銭の勘定も満足にできぬ。より遠くへ旅に出ようにも、まったく支度も心構えもできておらぬ状態でな。半ば無理やり、テンメイとその師匠が暮らす家に居座って、まずは下働き生活よ」
「テンメイさんはお医者さんだから……そのお手伝いをしたり?」
「それもあったが、むしろ家の切り盛りが主体かの。テンメイの師は妻も子も持たない独り身のお方での。赤子の頃に父母を亡くしたテンメイを拾って、以後ずっと二人で暮らしてきたそうじゃ。女手がないゆえ、物心ついた頃にはテンメイが家の切り盛りをしていたらしいが、妾が居候を始めてからは、代わりにな。もっともダズカルでは俗にいう男女の立場が逆転しておったから、初めの頃はテンメイの仕事を何倍にも増やしておったがな」
「あはは……」
 ニッと笑われ、ヴァヴァロは苦笑するしかない。
 ヴァヴァロも家事は得意ではないので、その光景は簡単に想像できてしまう。同時に、あの無口で強面の青年の渋い顔が容易に想像できてしまった。
「あとは、そうじゃな。時折、狩りに出ては獲物を捕らえ、テンメイたちに料理を振る舞うことはあったな。魔物の駆除や護衛、荷運びまで、今にして思えば随分と色々な仕事をしたものじゃ。街ならではの経験を多く積ませてもらった」
「駆け出しの冒険者みたいに過ごされたんですね」
 言って、ヴァヴァロは自分が冒険者として走り出した頃を懐かしく思い出す。駆け出しの頃は、小間使いのような仕事を多く経験したものだった。
「それで、テンメイさんとはどんな経緯で夫婦になったんですか?」
「なんじゃ、惚れた腫れたに興味があるかえ?」
「えへへ……ちょっぴり」
 ようやくバドマとテンメイの馴れ初めが知れたのだ。夫婦としての情が二人の間にあるのか、それとも旅の相棒として都合の良い契りを結んだだけなのか、実際のところかなり気になっていたのだ。
 まったく仕方がないな、と笑ってバドマは言葉を続ける。
「居候し始めた頃は、いずれ準備が整えば独りで旅立つつもりだったのじゃが、どうも知れば知るほど世界とやらは広い。さすがの妾も、これに独りで挑むのは少しばかり心細いものがあってな。年齢的にも部族にいれば婚姻していてもおかしくない年頃だったゆえ、ちょうど近くにおった婿候補を娶ることにしたのじゃ」
「テンメイさんが好き……とかじゃないんですか?」
 期待とは違う返答に、ヴァヴァロは軽く落胆する。
「テンメイは無口だが聡明な男じゃ。家を任せるに充分な能力も持っておる。おまけに薬師ならば旅の同行者としてありがたい。レンとゼラでは同じアウラ族でもかなり風習が違うが、それもひとつ屋根の下に暮らすうちに慣れた。なかなか雄々しい角をした美男子であるしな。ダズカル風に言えば、婿として申し分なかったのじゃ」
「テンメイさんは、バドマさんを一人にしておくのが心配だから一緒になったって言ってました」
「なに? そんなことを言ったのか、あやつめ。妾の旅の計画を聞くたびに目を少年のように輝かせておったくせに」
 それまで笑っていたバドマは、ぽろりともらしたヴァヴァロの言葉に軽く身を起こした。
「テンメイさんが?」
 あの朴念仁の如き青年が目を輝かせる様子は想像するのが難しい。
 うーん、と首を捻りながらテンメイが目を輝かせる様子を思い描こうとするヴァヴァロをよそに、バドマは一人、尻尾の先で床を叩きながらぷりぷりと怒っている。
「まったく適当なことを。妾の求婚を受け入れる時、妾の伸びやかでなにごとにも囚われぬ生き様が好きじゃと、はっきり言いおったというに。だいたい、妾が求婚する前から頼みもしない品を用意しては妾に捧げておったではないか。妾に惚れておったのはみえみえじゃったぞ」
「テンメイさんがプレゼントかぁ。なんだか想像できないな……。どんな物を貰ったんですか?」
「妾の名にちなんだ髪飾りや帯飾りをな。あたかもその辺りで買ってきたようなフリをしておきながら、わざわざ特注した品もあったのじゃぞ」
「バドマさんの名前って?」
 きょとんとして尋ねると、バドマはああ、と頷いた。
「バドマ、とは我々の言葉で蓮の華を指すのじゃ。その昔、父母がいずこかで咲く蓮を見て、泥中に凛と咲く穢れなき姿にいたく感動したそうでな。生まれてきた妾にこの名を授けてくださったのじゃ」
 もっとも自分で実物の蓮を見たのは、こうして旅に出てからなのじゃが、とバドマは笑う。
「素敵な名前ですね」
 ララフェル族の名は韻を踏んでつけるため、その名自体は特定の意味を持たない。
 だからヴァヴァロなどは、バドマに限らず、意味を込められた名を持つ人々の話を聞くと微笑ましく感じるものだった。
「そうであろう、そうであろう」
 バドマは自慢げに頷くと、荷物を手近に引き寄せ、その中からひとつ木箱を取り出した。
 その中からそっと布に包まれた物を取り出すと、丁寧な手つきで布を取る。丁重に仕舞われていたそれは一本の簪だった。
「これは妾が居候していた頃に貰った品じゃ」
「わぁ、綺麗……」
 バドマが簪を持たせてくれ、枕辺に小さく灯してくれた灯りを頼りに、ヴァヴァロは簪を軽く掲げる。
 柄の部分は銀、装飾は白玉だろうか。幾重にも重なる蓮の花びら一枚一枚は薄く精巧で、少し触れただけで折れてしまうのではないかと思えるほどだ。そっと花びらのひとひらを撫でてみたかったが、不用意に触れると折れてしまいそうで、灯りにかざして眺めるに留めた。
「妾があまりにも飾り気がないのを気にして、これをな。妾のような狩人には無用じゃというに。うっかり壊しはしないか、身に着けていても気が気でないわ」
 そっと簪を返すと、バドマはそれを丁寧に布で包みなおし、大事そうに木箱に戻した。愛おしそうに木箱をひと撫ですると、取り出した時と同じように荷物の中に戻した。
「やっぱりテンメイさんのことが好きなんですね?」
 伺うように見上げてくるヴァヴァロにバドマはちらりと笑う。
「まったく、ませた子じゃな、お主は」
「えへへ……」
 どこか照れたようなその顔に、やはり二人は夫婦なのだな、と妙な安心感を得てしまうヴァヴァロであった。
 再び灯りを落とし、バドマはしばし、夜を雨音に身を委ねていた。ヴァヴァロも口を噤み、大地を、窓を、屋根を叩く雨音に耳を傾ける。
「……テンメイ(天明)、とは夜明けのこと。あれは妾にとっての僥倖。無明長夜を彷徨う妾に、一条の光を投げかけた……」
 静かな声に、無粋な相槌は必要なかった。
 夜に染み入るようなその声に、ヴァヴァロはぼんやりと二人の旅の軌跡を思い描いた。ヴァヴァロにはまだ、恋も愛もよく分からないけれど。少しだけちぐはぐに思えたこの夫婦のことを、少しだけ、知れたような気がした。
 しばらく互いに雨音に聞き入っていたが、ヴァヴァロはふとひとつの疑問を思い浮かべてしまった。
「あのぉ……」
「うん?」
 おずおずと声をあげると、なにやら物思いに耽っていたバドマが振り返る。
 ──これを尋ねてしまって良いものか。相当迷ってから、ヴァヴァロは恐る恐る口を開いた。
「アウラ族って……その、男の人でも……しゅ、出産できるんですか?」
 唐突な質問にバドマが目を見開くので、ヴァヴァロは頬が熱くなるのを感じる。
「ダ、ダズカルだと男女の役割が逆だって言ってたから……」
 例えば──そう、例えば、アウラ族は卵生だったりとか。性別に関係なく卵を産んで育てるとか。だから部族全体で男性が母親役を、女性が父親役でも日々の生活を営んでいけるのかも、とか。
 一拍おいて、バドマは弾かれたように笑い出した。あまりにも盛大に笑われ、ヴァヴァロは耳まで赤くなってしまう。
 ひとしきり笑うと、バドマはそれでもくつくつと笑いながら言う。
「さすがに産むのは女じゃな。確かに他の部族とは違い、男が女の、女が男の役割を担うが、生まれ持った性の役割までは覆せぬ」
「そ、そうですよね」
 妙にほっとして胸を撫で下ろすと、ヴァヴァロはもうひとつ、ずっと聞きたかったことを思い出す。
「そういえば、テンメイさんって本当に戦えないんですか? あんなにがっしりしてるのに」
「戦わぬな。そもそもあれは殺生を嫌う。命を傷つけるなど到底できぬ男じゃ。それでも身体を鍛えておるのは、ひとえに師の教えによるものじゃな。健全な精神は健全な肉体に宿る、と。剣術や体術は学んでいたようじゃが、仮にその力を振るうことがあっても、あくまで護身のためであろうな」
「そっかぁ……」
「お主も見たであろう。街で悪漢に絡まれても、反論ひとつせぬ様子を。まったく、生きる限りなにも傷つけずに済むはずもなかろうに。いざという時、本当に己の身を守ることができるかも怪しいところじゃ」
「最後のほうは、反論しようとしてたみたいですけど……」
 悪漢に絡まれ、テンメイがきゅっと唇を引き結ぶのを、ヴァヴァロは確かに見た。
「遅すぎるのじゃ、いつも。あそこまでコケにされてなぜ我慢するのか、妾には全くもって理解できぬ」
 バドマは盛大に顔を顰めてみせる。ヴァヴァロは苦笑するしかなかった。
「バドマさんは、剣も扱えるんですか?」
 件の獣を狩る際、バドマは馬上で剣も振るったという。ヴァヴァロが彼女と出会ってからは弓を扱う姿しか見ていないが、確かに彼女は腰に何かを帯びていた。布で全体が包まれているため得物の正体は不明だったが、何かに触れたはずみに硬い音を立てていたから、剣だろうかと思ってはいたが。
「多少な。普段は弓で事足りるゆえ、滅多に鞘から抜くことはないが」
「すごいなぁ。あたしもノギヤさんに──あ、ノギヤさんって言うのは冒険者仲間なんですけど、彼女に勧められて弓以外の武器にも慣れようとあれこれ試した時期があって。最近では銃の練習もしてるんです」
「ほう、銃か」
 ヴァヴァロが弓を得物に戦うのは、父が弓術士で、幼い頃に教わっていたから、という単純な理由からだ。一時期は父との繋がりにこだわり頑なに弓の鍛錬に励んでいた時期もあった。しかし弓を奪われ、ないしは破損してしまった時に備え別の武器の扱い方も多少は覚えたほうが良いとノギヤに勧められ、格闘術を教わり始めたのがきっかけとなり、その後は随分と色々な武器の扱い方を──かなり迷走しながら──学んだものだ。そうして今では、イシュガルドで出会った機工士としての戦い方も身に付けようと奮闘していた。
「力が弱い人でも銃を扱えれば強力な戦力になれるって聞いて、弓と同じ遠距離からの狙撃が可能だし、似たような感じだろうと思って練習してるんですけど……実際、銃を扱おうと思うとなかなか難しくて」
「して、得物は? 此度は持ってきておらぬのか?」
 バドマに尋ねられ、ヴァヴァロは肩を落とした。
「今は修理中なんです。銃本体じゃなくて、機工兵装っていう特別な装置のほうが壊れちゃって……。本当は今回の捜索にも持ってきたかったんですけど、今はイディルシャイアの工房に預けてるんです」
 言いながら、ヴァヴァロは自分でがっかりしてしまう。ただでさえ弓の腕もいまいちなのに、ようやく自分も戦力になりそうな武器を見つけたかと思えば、上手く扱えずに壊してしまう始末。冒険者になってそれなりに経つというのに、仲間たちには遠く及ばないのだ。
「あーあ、はやく一人前になりたいな」
 ぼやくヴァヴァロの背中をバドマが優しく叩いた。
「なに、そなたの弓もなかなか捨てたものではないぞ。まだまだ荒削りじゃが、実直に鍛錬を続ければ必ず努力は実る。妾は機械には詳しくないが、銃にしろ何にしろ、これは変わるまい」
「はい」
 色々と落ち込みたくなるが、バドマの励ましには素直に頷いた。仲間に早く追いつきたい一心で焦ることも多いが、バドマの言うとおり、日々鍛錬を続けるしか追いつく術がないことは、自分でも痛いほど実感していた。
「……それで?」
「それで?」
 バドマの言葉にヴァヴァロはきょとんとする。バドマは悪戯っぽい笑みを浮かべた。
「妾ばかり話したのではつまらぬではないか。今度はそなたの話を聞きたいのじゃが」
「あ、あたしのですか?」
「うむ。なぜ冒険者になることを選んだのか、決して楽ではない旅暮らしの身になったのか、聞かせてくりゃれ」
 話して面白いようなことは特にないのだが、と断りかけたが、出会って日の浅いバドマが自身のことを語って聞かせてくれたことを思い、ヴァヴァロは少しだけ過去を振り返った。
「あたしは、もともと両親が冒険者だったんです。二人とももういないんですけど」
一瞬、目を見開いたバドマが、神妙な表情で頷いた。
「何年か前に、エオルゼアで戦争が起こりそうだからって、父に勧められて海の向こうに住んでるおじいちゃんの家に母と避難したんです。エオルゼアに残ったお父さんはその戦争で死んじゃって、訃報を聞いた母も、後を追うように」
 ヴァヴァロは口を噤んだ。胸を穿つような悲しみはもうないが、両親のことを思い出すと、やはり少しだけ二人が恋しくなる。
 小さく息を吐いて、ヴァヴァロは顔を上げた。
「それで、何年もおじいちゃんと二人で暮らしてたんですけど、だんだんエオルゼアが懐かしくなって。その頃は父が聞かせてくれた旅のはなしをよく思い出していたんです。旅の思い出話をひとつひとつ振り返ってたら、ますます故郷が恋しくなっちゃって。それに」
「それに?」
 言葉を切ったヴァヴァロに、バドマは首を傾げた。
「……冒険者になったら、いつか父に会えるような気がしたんです。あの頃は……お母さんのことは看取ったけど、お父さんの死に際には居合わせたわけじゃなかったから。本当は生きていて、旅をしていたらいつか会えるんじゃないかなって」
「そうか……」
「それでおじいちゃんに言ったんです。冒険者になりたいって。でもその時は反対されちゃって……。我ながら子どもっぽかったなって思うんですけど、そのまま家出したんです、あたし」
「ほう、それは思い切ったことをしたな」
 ヴァヴァロは顔を赤くした。
「父にはたまに冒険ごっこに連れていってもらってたから、あの時はやたら自信に溢れてたんです。野宿の仕方も、弓の扱い方も教わってたから、あたしだって立派な冒険者になれるって。今思い出すと、なんであんなに自信満々だったのか恥ずかしいくらいなんですけど」
 実際、家出した当初はそれなりに上手くやっていた。街で買った弓を手に夕飯の獲物ぐらいなら狩ることができたし、その毛皮を立ち寄った集落で売り路銀を稼ぐこともできた。盗賊に絡まれても逃げ切ることができた。そうした小さな成功に調子づき、結局は行き倒れるような事態にも陥ったのだが。
「なに、良いではないか。時には思い切りも必要じゃろうて。その勢いがあってこそ、いまのそなたがおるのじゃろ?」
 過去の醜態を思い返すと、バドマの言葉には素直に頷けないヴァヴァロである。
「しかし祖父君はさぞ心配したことじゃろうな。その後、連絡はとったのかえ?」
「ええと、それが……おじいちゃん、あたしのこと心配して追いかけてきちゃって……。いまでは一緒に冒険してるんです」
 しどろもどろに言うと、バドマは再び目を見開いたかと思うと、すぐに大笑いする。
「なるほどな。その祖父君あっての孫じゃのお。祖父君はいまどちらに?」
「おじいちゃんは、ええと──」
 ──これにはなんと答えたものか。
「……おじいちゃんはちょっと特別な人で、最近では一緒だったり、一緒じゃなかったり……」
「特別?」
「えーと、今は大きな問題を解決するために奔走しているというか……。他の人にはできないことをやっているんです」
「ふむ、特殊な事情を抱えておるのじゃな」
 言葉を濁すヴァヴァロに、バドマは深く追求するような真似はしなかった。そのことに安堵し、次いで俯く。
「本当はいつもそばにいて助けてあげたいけど、あたしでは力になれないことも多くて、それで」
 ヴァヴァロは言葉を切った。祖父が置かれた現状を思うと胸が痛くなる。
「おじいちゃん、本当は村で静かに暮らしていたのに、あたしが家出したせいで穏やかな生活とは程遠い世界に踏み込むことになっちゃったんです。戦争とか、神様とか、権力者の陰謀とか、そんな世界に」
 ──祖父は光の戦士だ。田舎の村で一介の樵として生きていた祖父は、いまや母なる星ハイデリンから光のクリスタルを授かりし英雄だ。──否、英雄の一人である。同じく異能を持つエミリアとともに、そしてヴァヴァロを始めとする仲間たちとともに、これまでも多くの脅威と戦ってきた。
 もしヴァヴァロが家出などしなければ──あるいはもっとお互いに納得してから旅立っていれば、祖父は今でも、故郷で平穏な日々を過ごしていただろう。それなのに──
「……はやく一人前になりたいです。どうすれば一人前になれるか分からないけど、もっと色んなことを一人でできるようになって、おじいちゃんの手を煩わせないようになって、一人で戦える力を身につけて──そうしたら少しくらい、おじいちゃんの力になれるかなって。正直、なんで冒険者を続けてるのかは自分でも分かりません。暮らしは安定してないし、怪我したり、怖い思いをしたり、ひもじい思いしたり、別れがあったり」
 なぜ自分ではなく年老いた祖父が星に選ばれたのか、浅ましくも嫉妬したこともあった。そんな嫉妬は祖父が権謀術数に嵌り、イシュガルドに逃げ落ちねばならなくなった時に、無意味なものだったと悟らされたが。
「でも今はこの道以外、分からないから……。うん、あたしもバドマさんみたいに、広い世界を見聞きして周ったら、色んなことを知って、なにか掴めるのかなって、そう思うんです」
 顔を上げたヴァヴァロにバドマは微笑んだ。
「一角の人物になりたいと努力するのは良いことじゃ。しかし、何もかも独りでこなそうなどとは思わぬことじゃ。独りで全てを行えると思うのはうぬぼれに等しい。人一人の力ではできることに限りがあると、ゆめ忘れるでない。さもなくば、妾と同じ過ちを犯すことになるぞ」
「それは──。……はい」
「妾もこうして旅を続けてはおるが、何かを掴めたかと問われると、依然として答えはない。強敵と渡り合えばあの日──魔性と化した獣と対峙したあの日の無念を晴らし、新たな境地を得られるのではないかとも考えるが、いくらこの弓で獲物を狩っても、手応えを得られぬ。何かを掴みたくて堪らぬのに、掴んだかと思えば砂のように指から零れ落ちていく……。そもそも自分が何を追い求めているのか、それすらも判然としておらぬ」
 ヴァヴァロは神妙な表情で頷いた。掴みたくても掴めない。その感覚はよく分かるように思えた。
「まことに度し難いものじゃ。己が心というものは」
「……そうですね」
 ひとつため息をついて、ヴァヴァロはころりと寝返りを打つ。
「でもいいなぁ、夫婦で冒険って。憧れちゃうかも……」
 両親が冒険者だったこともあり、特定の相棒がいる冒険者にヴァヴァロは妙な憧れを抱いている。
 初めはバドマとテンメイの関係性に面食らってしまったが、よくよく聞けば、やはり二人の間に情があると分かった。それですっかり羨ましくなってしまっていた。
「慣れぬ土地を共に旅する者がいるというのは、やはり心強いものじゃな。困難も喜びも分かち合うことができるゆえ。しかし、そなたにも相棒がおるのではないか?」
「相棒? ああ、アルテュールですか?」
 一瞬誰のことかと思ったが、おそらく彼のことだろう。
「息もぴったり合うようじゃが、実は良い仲なのではないか? ほれ、正直に申してみよ」
「ええ!? ち、違いますよ! アルテュールとはそんなんじゃありませんっ」
 ほれほれ、と肘で小突かれ、ヴァヴァロは慌てて否定する。
「なんじゃ、違うのか。つまらんのう」
「アルテュールはどっちかというとお兄ちゃ……うーん、お兄ちゃんはやだな……。うん、ただの冒険者仲間です。なんだかんだで、付き合いは長いですけど」
「彼以外にも仲間がいるのだったか。何か組織に属しておるのか?」
「組織ってほどじゃないんですけど、昔から顔なじみの仲間でリンクパールを持ち合ってたり、みんなで頑張ってフリーカンパニーの家を建てたり……。あたしはおじいちゃん以外に家族がいないし、一番年下だから、まあ実際、みんなのことはお兄ちゃんやお姉ちゃんみたいに思ってはいるんですけどね」
 言いながら、ヴァヴァロはふと、アルテュールと出会ったばかりの頃を思い出した。そういえばあんな奴、大嫌いだった、と。
 出会った頃のアルテュールはゴロツキも同然の男だった。ヴァヴァロたちが冒険者ギルドの依頼で挑んだ遺跡に同行したいと申し出たアルテュールは、あろうことか一行の分け前を盗んで逃げようとしたのだ。あいにく未遂に終わったが、そのことをアンリオーに説教された彼は、逆上してアンリオーを殴りつけた。その一部始終を見ていたヴァヴァロもまた逆上して、アルテュールの頭にガブリと噛み付いてやったのだが。
 結局一行から見逃された彼はしかし、何を思ったのか、或る日突然アンリオーとヴァヴァロたちの元に戻りこう言ったのだ。──俺も仲間に入れてほしい、と。
 アルテュールにどんな心変わりがあったのか、ヴァヴァロには未だに分からないのだけれど。そういえばいつの間にか、随分長い時間を彼と共有してきたな、と懐かしくなる。
「明日になれば合流できる予定だったかの。そなたの仲間であれば善い人々であろう。その際にはぜひ紹介してくりゃれ」
「むぅ、子ども扱いされてる気がする……」
 なにやら物思いに耽るヴァヴァロの頭を、バドマはぽんぽんと叩いた。
 照れ隠しに口を尖らせるヴァヴァロに笑って、バドマは改めて横になった。ヴァヴァロもそれに倣って薄い毛布を体に掛け直す。
 雨はまだ止まないが、地を濡らす音色は、微睡みを誘うのに充分なものだった。























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ようやくここまで書けたーーーー!!!(叫)
本当は4.0が始まる前にバドマの過去を書いておきたかったけど、全然間に合いませんでした。
(計画性とかはないタイプ)(そして締め切り前になるとお尻に火がつくタイプ)


4.0が始まって、もしダズカル族がゲーム内に登場したら、ゼラの部族設定だけで膨らませまくった妄想をそのまま書けなくなっちゃうなあと思って、メインクエストの進行をストップして慌てて書くと言う始末。
でもとりあえず妄想を吐き出せて一人で満足していたり。


モンゴルの遊牧民の暮らしなんかはネットで調べた程度の知識しかないけど、実際アジムステップに到達できる日が今から楽しみです。


そしてようやくタイトルにもなった「蓮華」のことも書けました。
これまたネットで「モンゴルの女性の名前でなんかいいのないかな〜」とググった程度しか知らないわけですが、どうも女性名でバドマ(蓮華)があると知って、この名前になりました。


おそらくサンスクリット語の「パドマ」からきているのかな?と思うのですが(安定の詳しくない)、アウラ族(レン)の共通語は独特の方言っぽいってことなので、バドマさんはゼラだけど、まあちょうどいいか!みたいな!(適当)


蓮のことわざ的にも彼女に似合うかなーとかほにゃらら。


ちなみにバドマさんと同年代の子達が意地悪なのはダズカル族の女子はいじわるーと思って書いたわけでなく、たまたまそう言う性格の子が多い年代だった感じだよ。そしてバドマさんがやたら偉そうな口調なのはただ単に彼女の気位が高いだけ。たぶん。


そして「翁物語」では光の戦士がおじいちゃんと言う老人に無茶振りする設定だったことを書きながら思い出す。
なぜそんな設定にした。なんとなくサブキャラでエレゼンおじいちゃんを作って遊んでたらその設定面白いかも!ってその時に思っちまったからだ!


とりあえず捜索編はここまでなので、もうちょっとで完結まで持っていけそうだよ!多分!おそらく!きっと!
そんなことより早くアジムステップに乗り込みたい。